発酵マット

主に幼虫飼育用(幼虫の餌)に使われるマットで、産卵用の埋め込みマット・成虫飼育マットとしても使われている。

きのこ栽培後のホダ木を粉砕し,発酵させたものが一般的で原木をオガにした生オガ発酵マットもあり

菌糸飼育より低コストです。

発酵について

自然発酵させる無添加と添加剤で強制的に発酵させる添加発酵があり、

幼虫が栄養を吸収し易くする為の栄養素分解転換。

 

自然発酵だと半年〜1年ほどかかるため,発酵の起爆剤として、

また、栄養素の落ちたホダ木マットの栄養補給をかねて添加発酵が用いられる。

 

幼虫は,体内のバクテリアによって栄養素を分解吸収しているので、

自然では材をかじったオガに自分のバクテリアの付いたフンなどを混ぜて

発酵させて食べているようで,発酵していないマットに入れるとかじったマットが

食べられるようになるまでに時間が掛かる為,成長が悪く死亡率も高いと思われる。

発酵と腐敗とは違うので,その違いも認識しておきたい。

添加剤について

主に小麦粉(薄力粉)が使われる。その他にフスマ・キナコがあり、

なかにはソバコ・ビール酵母・プロテイン・キトサン・

ロイヤルゼリー・リアルゴールド(清涼飲料水)などを使う人もいる。

また、添加促進剤としてイースト菌などが用いられる。と,様々。

 

あくまでも添加剤そのものを食べさせるのではない事を認識しておきたい。

いかにうまく必要な栄養素を残しつつ発酵させるかがポイント

無理な添加剤の添加と大量添加は、幼虫に過激なショックを与える事になり,

ディンプルや奇形・死亡率を上げてしまい,大きくなるどころか散々な結果になり得ます。

マットの原木

クヌギ・コナラが中心で、ブナ・エノキ・ヤナギなどがあります。

オガコの状態

ホダ木を粉砕したものでは、粗目・普通・微粒子など粉砕の程度が違うものがある。

また、生木をオガコにしたものもある。

マットランク

種類

栄養価

価格

入手し易さ

菌糸

1(高い)

1(高い)

1

生オガコ

幼虫飼育は無理

3

3

無添加生オガ発酵マット

3

2

4

添加生オガ発酵マット

2

2

4

未発酵粉砕マット

7(低い)

6(安い)

2

無添加発酵マット

6

5

1

添加発酵マット

5

5

1

 

発酵マットの使用のポイント

産卵用埋め込みマット・初齢幼虫には微粒子マットが適していて,

生オガマット・粗目のマットは幼虫の成長に応じて使い、安定期の幼虫の投入が望ましい。

 

アンタエウス・カブトムシなど泥食い系のマットを好む虫もいるので,

発酵の進行具合も虫の種類によっては使い分けしたい。

 

市販されているマットの多くは,1次発酵のマットで完熟といえず、

これの発酵を進めて完熟させたのがアンタエウスマットとか言われるものです。

 

マット使用時にマットの水分量と管理温度によっては,再発酵する場合があります。

この時に幼虫を入れてしまうと変体サイクルの進行を早めたり、死なせてしまう

事になるので注意する。

 

発酵の進み具合の見方として,マットの水分量にもよるが

マットの色で見ると薄い黄茶色から発酵が進むとチョコレイト色へ黒色化してくる。

 

発酵マットの作り方

マットは出来るだけ多目の量で作成した方が安定した発酵が得られます。

気温25度以上で発酵が安定するので夏場に作成すると良い。

ここでは,自己流の一般的な発酵マット30Lの作り方を説明します。

用意するもの

未発酵粉砕マット・生オガコ・小麦粉・フスマ・イースト菌・砂糖・

マットを入れるケース(収納ボックス等蓋ができ通気があるもの)・500ml位の容器・計量カップ・水

マットの混合容積率

生オガコをマット全体の25になるように算出し,各マットの容積を求める。

30L× 0.25(容積率)=7.5(生オガコ)よって22.5が粉砕マット 

添加率

添加率は,3%,小麦粉とフスマの配合率は11

30L×0.03(添加率)=0.9L 小麦粉450mlフスマ450mlとなる。

作業1

用意したケースの中に、各マットをそれぞれの量を入れよくかき混ぜる。

作業2

添加剤をそれぞれ2回ぐらいに分けてマットに入れながらよくかき混ぜる。

作業3

容器に30度のぬるま湯300mlでイースト菌6gと砂糖3gを

良くかき混ぜて溶かし10分ほど培養しておく。

作業4

マットに培養したイースト菌を入れよくかき混ぜる。

作業5

ここで加水するのですが,この水加減が難しく、

少ないと発酵せず多いと腐敗してしまうのでマットを硬く握って水がにじまない程度か,

軽く握って団子ができる程度より少なめを目安に

これを均等になるように徐々に加水しながらかき混ぜる。

 

慣れてくればわかってくるので最初は少なめで加水した方が失敗は少ないです。

作業6

マットを少し押し固め、ケースの蓋をして安定した発酵が得られる場所へ保管。

作業7

1週間保管後、マットを良くかき混ぜる。

このとき発酵臭がして,マットの中心部が熱くなっている。

マットをかき混ぜるのは,発酵するためには酸素が必要なのと均等に発酵させるため。

作業8

以降,作業7”を3日ごとに23週間位繰り返し,

マットの温度が外気温より上がらなくなり,土のような匂いがしてくれば完成。

途中,マットの水分量が減るが加水しないで蓋に付いた水滴を戻せばよい。

備考

夏場で作るのが好ましいが冬場で作る場合は、加水時に温水を使い,

電気毛布などで包んで保管管理し,かき混ぜる時に発酵熱を逃がさないようにする。

余ったマットは,乾燥させて保管すれば,使う時に加水して

1~2日寝かしてから使えば変わらない状態で使う事ができる。

 

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