神奈川産本土ヒラタ
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山地、丘陵地採集 累代個体62ミリ |
河川敷採集 野外個体55.6ミリ |
この個体は、丘陵地から山地にかけて採集されるヒラタの中でも 最もその特徴が出ている固体です。 顎は全体的に短く、その先端は鋭角に内側に切れ込んでいます。 又、内歯は太く上向きに立ち上がっています。 体全体が太く、顎・頭部・前胸・上翅のバランスの中心が頭部に あるような成り立ちです。 顎の細いタイプや長歯タイプも採集されますが、前記体型バランスを持っている。 画像のタイプは、全国的に見ても希なタイプかもしれません。
お尻ENDが丸く見えます。 |
この個体は、2005/6月に採集したヒラタですが、河川敷では 珍しく山ヒラタに近い形の個体です。 河川敷ヒラタでは究極個体と言って良いと思います。 3年前までは、この傾向の個体は採集されていませんでした。
通常、河川敷で採集されるヒラタは細身で顎は細長く、緩やかな 曲がりを持っています。 又、上翅が長めのバランスをもっています。 俗に言われる、本土ヒラタや関東ヒラタの原型と思ってください。
お尻ENDが尖って見えます。 |
比べて見よう! |
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ちょっと異変がおきています。 |
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この2匹は、同じ場所で採集したほぼ同サイズの河川敷個体です。 先に記載した通り、左側のタイプが近年採集される事が多くなりました。 右側の個体が、以前より採集されていた個体です。 採集状況からみて、近年、個体が激減していると感じます。 また、大形個体も少なくなりました。 河川敷の立枯れ・流木・朽木などの材は,目の付く物はその殆どが材割採集によって砕かれ、根元も掘られています。 この個体差は、そんな背景があるからでしょうか? 以前からもこの位の個体差のものも混じっていたと聞く事もありますが、 河川敷から平地、そして丘陵とヒラタ生息地がつながっている事を考慮すると、前記が益々濃厚になります。 つまり、以前から河川敷で大量繁殖していたヒラタは、乱獲により数が減り、採集され難い平地や丘陵地のヒラタが餌場を求め、 流入、若しくは繁殖と言う事になりそうです。 全体的な数が減れば、極少数であっても目立って来ますね。 勿論、生育環境の影響もあると思います。
個体差があると言っても、河川敷の特徴は残っています。
一方、山でも細い顎の個体や長歯系の個体が多くなってきているようです。一見、河川敷と区別がつかない個体もいます。 採集が難しい為、正確に判断する事が不可能ですが、自分を含め採集者の方々のお話を聞くと、採集出来ても画像のような個体が採れなくなったと言う事になりそうです。
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神奈川産本土ヒラタの個体差 |
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ヒラタは生育段階の環境の影響が個体に出やすい事は知られています。 また、広い生息分布を持つヒラタは他地域との交配が盛んで、血が混じりあうケースが多い事も知られています。 当方で言う個体差が血統的か生育環境下かは、研究中ですが生物学的に公式なものではありません。 ですが、採集されている方や標本をやられている方ならではの、採集場所個体差や傾向が存在するのも事実です。 個体異変の範囲と言ってしまえばそれまでかもしれません。
初めて見る方、子供の頃、昔とヒラタのイメージは人それぞれですが、どちらをイメージされてますか? 画像ではわかり難いですが、並べて見たとき山ヒラタを指す方が多いと思います。 そんな程度かもしれません。 本土ヒラタをお持ちでしたら比べて見てください。
当方は、採集場所個体差としてとらえています。八丈ヒラタとは違いますが、A・B・ABと狭い生息地で個体差タイプがあるように その地域個体差が血統として遺伝するケースがあると言う考えからからです。 また、近年の開発や乱獲又は放虫により生息状況が変化し従来の地域個体差が変化し、昔ながらの形を失ってしまいそうなので、 その形を血統維持できればと思っています。(特に、地元産には妙な愛着が湧きますね) 血統維持は大変で面倒に思う事もありますが、頑張りたいと思っています。(とうとうクワ馬鹿に!) |